戦争がありました。でも、1冊の本に未来の希望を残そうとした人がいました。その本は残り、これから何度も読まれることになるでしょう。この絵本が描くお話です。これは希望をつなぐ絵本です。
戦争の最中、爆弾が図書館に落ちて、街は燃えてしまいました。図書館の本はみんな木っ端微塵になり、ページのかけらがひらひらと舞い上がり、吹雪のようでした。人々は思わず立ち止まり、手を伸ばして言葉のかけらをつかみ取ろうとしました。
1冊だけ残った本がありました。ピーターのおとうさんが借りていた赤い表紙の本です。おとうさんは「ぼくらにつながる、むかしの人たちの話がここにかいてある」といって、それは金や銀、宝石よりも大事だと教えてくれました。本はおとうさんからピーターに引き継がれ、やがて戦争は終わります。ピーターは自分が生まれ育った街に本を持ち帰り、新しくできた図書館を訪れます。
誰もが、自分は何のために生きているのか考えるときがあります。生きる価値を見出し、それを支えに自分の人生を全うしようとするからです。人間が生きる価値は社会の中にあります。社会は建物でつくられている訳ではなく、歴史や文化の上に成り立っています。本はその歴史や文化を伝えていくもの。だから、本は宝物なのです。
この絵本をつくった人たちの思いは装丁にも込められています。どうぞ読み終えてから、表紙カバーを取ってみてください。(店主)
この本をかくして
マーガレット・ワイルド 文
フレヤ・ブラックウッド 絵
アーサー・ビナード 訳
岩崎書店
本体1500円+税
2017年6月30日発行
0 件のコメント:
コメントを投稿