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絵本・児童書の専門書店です。小さいカフェもあります。

絵本と楽しいひとときを過ごしましょう。素敵な絵本をご紹介します。大切な人とご一緒に、あるいはお一人でも。あなたにぴったりの絵本が見つかりますように!

2018年2月28日水曜日

【本の紹介】生きる




 谷川俊太郎さんの「生きる」という詩が絵本になりました。詩をどう解釈するか言葉で表すことはとても難しく、そもそもその必要もないと思いますが、巻末の作者自身による「〈いま〉の意識」という文章は、とても分かりやすく一つの道筋を示しているように思います。
 作者はこの詩について、「私たちの心を束の間立ち止まらせて、さまざまな〈いま〉の情景から、ふだんはことさら意識することのない視点で、人生を俯瞰して見直させる働きがあるのかもしれません」と書いています。一瞬に過ぎない〈いま〉の情景が、長い人生を見つめ直すことにつながる。まさにその通りだから、この詩は人々の心に響き、愛されているのだと思います。
 絵も、ことさら意識することのない視点で、ある家族の夏の一日を描いています。姉と弟、その父母の4人家族です。この日は別に暮らす祖父の誕生日でした。祖父は家族の家にやってきて、お誕生会を楽しみます。冒頭に描かれたセミを通じて、生きること、そして生命の重さが伝わってきます。
 この詩は「いま生きているということ」という歌になっています。フォークシンガーの小室等さんが曲をつけて自ら歌っています。(店主)

生きる
谷川俊太郎 詩
岡本よしろう 絵

福音館書店
本体1300円+税
2017年3月5日発行

2018年2月25日日曜日

【本の紹介】おとうさんとあいうえお




 短いお話が12個集まった童話集です。主人公のとしちゃんがおとうさんから、「あいうえお」の字を少しずつ教えてもらうお話です。ときどきおかあさんも登場します。ほのぼのとした楽しい会話が、どこからか聞こえてくるような気がします。
 早起きのおとうさんととしちゃんは犬の散歩に出かけます。少し歩いて海の見える砂浜に着きました。ちょっと一休み。それから、おとうさんは「きょうから としちゃんに、じを おしえてあげよう」といいました。としちゃんは、手を叩いて喜びます。
 あいうえおの一つひとつの文字を、散歩や買い物ごっこ、なぞなぞ遊びをしながら覚えます。お友だちや体の名前を使って覚えたりもします。シンプルでかわいいイラストが目を楽しませてくれます。
 作者の東君平は1986年、46歳の若さで逝去し、没後30年を迎えました。この作品は1990年に童心社から「おとうさんのあいうえお」というタイトルの絵本として出版されていました。判型、レイアウトなどを見直し、今回あらためて発刊されました。古さをまったく感じさせず、読む楽しみにあふれています。(店主)

おとうさんとあいうえお
東君平 さく・え

廣済堂あかつき
本体1300円+税
2018年1月31日発行

2018年2月24日土曜日

【本の紹介】ゆきのあかちゃん




 雪は、最後にはとけてなくなってしまうのでしょうか。出会った人とも、もう会えない? いえいえ、そうではありません。姿形が変わるだけ。この絵本が教えてくれます。生まれたばかりのゆきのあかちゃんのお話を聞いてみましょう。
 くものおかあさんから、ゆきのあかちゃんが生まれました。冷たくて真っ白な洋服を着ています。風に飛ばされて街までやってきました。おかあさんとよく似たやさしい目の女の子と出会います。女の子の手のひらめがけて思いっきりジャンプしました。ゆきのあかちゃんは手のひらで、ひとしずくの水になってしまいました。
 水になったゆきのあかちゃんは、昔この街に来たことを思い出しました。そのときも雪でした。水になった雪はまた雪になり、何度も生まれてくるのです。ゆきのあかちゃんは女の子にこういいました。「なんどでも きっと また…あおうね」。
 色彩が美しい絵本です。白いゆきのあかちゃんの心情に合わせて背景の色彩が変化し、物語を劇的に表現しています。絵は主にパステルで描いたそうです。色のやわらかさと繊細な描き方がバランスよく調和し、絵にあたたかさと深みを与えていると思います。(店主)

ゆきのあかちゃん
宮田ともみ

アリス館
本体1400円+税
2017年10月31日発行

2018年2月23日金曜日

【本の紹介】へそとりごろべえ




 表紙にはりりしい姿の鬼がいます。雲に乗った雷さまです。おへそが大好きなへそとりごろべえです。ハンドルが付いた雲は、どこにでもビュンビュン飛んで行けそうです。ばちを持った太鼓は、自分でゴロゴロさせることができるようです。ハイテクな雷雲です。
 ごろべえは次から次へとおへそを取っていきます。その相手はたぬきにねずみ、そしてライオン! さらに桃太郎や鬼ヶ島の鬼、そのほかびっくりする相手が登場します。
 絵本の見開きページの効果的な使い方はさすがです。1ページごとにお話をテンポよく進めたり、広く2ページ分を使って迫力満点の絵にしたり、読み手をぐいぐい引き込む構成です。
 見て楽しい、そして読んで楽しい絵本です。作者の遊び心に満ち溢れています。最後のページのとぼけた終わり方にはびっくり。この絵本は1978年に刊行され、出版社の創立60周年記念として、ほぼそのままの形で復刊されました。復刊した出版社に深く感謝します。(店主)

へそとりごろべえ
赤羽末吉

童心社
本体1400円+税
2017年12月7日改訂新版発行

2018年2月22日木曜日

ビブリオパドルに行きました!




 ビブリオパドルに行きました。東京都国分寺市の絵本・児童書専門店の「おばあさんの知恵袋」で絵本好きがそれぞれのお気に入りを紹介しあいます。
 今回は21日の開催。テーマは「ねこ・猫、スイーツ」。参加者は7人でした。
 私は「こねこのジェーン ダンスだいすき!」(きじとら出版)を紹介しました。子ねこのジェーンが主人公です。ジェーンはバレリーナになることを夢見ています。バレエスクールに入ったジェーンはバレエの練習に夢中になるあまり友だちと仲違い。でも、すぐに仲直りして一緒にダンスパーティを楽しみます。自分の気持ちを正直に表現するジェーンが素敵です。
 そのほか今回取り上げられた絵本は、「ねこじたなのにお茶がすき」(淡交社)、「てつがくのライオン」(復刊ドットコム)、「くろねころびんちゃん ごろごろ」(キーステージ21)、「和菓子のほん」(福音館書店)、「ゆめねこ」(金の星社)、「サイモンは、ねこである」(あすなろ書房)、「ねこガム(こどものとも年少版2005年1月号)」(福音館書店、品切)、「ねえ どっちがすき?(こどものとも年少版1998年9月号)」(福音館書店、品切。この作品は書籍化されて入手可能)などでした。今回も個性的な絵本がそろいました。(店主)

2018年2月21日水曜日

「母の友」2018年3月号が入荷済みです!




 「母の友」2018年3月号の特集のテーマは「今、保育を考える」です。ブレディみかこさんがとても刺激的で興味深い記事を寄稿されています。ブレディさんはイギリス在住のライター・コラムニストで、イギリスで保育士の資格を取り、実際に働いていた経験もあります。保育士の立場から社会や政治の問題を捉えた著書があり、今号では「保育士がなぜ政治を語るのか」というタイトルで原稿を執筆されました。
 ブレディさんが政治について書こうと思ったきっかけは、保育士資格取得コースで毎学期の終わりに書かされたミニ論文だったそうです。ミニ論文では保育士の日々の仕事と、それを行う理由としての法的フレームワークや学術的根拠をセットにして論じることが求められました。その際、法的フレームワークとなる法律集の該当箇所を示すだけでは合格点に達せず、その法律が基づくEUまたは国連の法律や条約、さらにその法律制定時の時代背景や社会問題まで言及する必要があったそうです。
 ブレディさんはそこまで求められることにとても驚かされましたが、ミニ論文をこなしているうちに、保育現場の事柄から、その背景がみえるようになってくることに気づきます。泣いている子どもの背後に同じような状況に置かれて泣いている子どもたちがいて、その後ろに唇を噛んでいる親たちの姿が見える。親たちの背景には政治があり、彼らを苦しめている根源として制度上の欠陥や法の不条理、そしてそれを放置する政治があると考えるようになったそうです。社会福祉士で社会運動家でもある藤田孝典さんは、これを「ミクロとマクロの連動性」と呼んでいるそうです。
 ブレディさんは、日本では「ミクロとマクロの連動性」を持った人を養成する気運がないことに危機感を示します。「本来ならばミクロな現場で問題を皮膚で知っている人々が、制度の欠陥や法の不完全性について考える回路を持たなくなる」といい、「これは国を運営している側にとってはやり易い」と指摘する一方で、「現在あるもの」が徐々に劣化して社会全体が衰退してしまうと警告します。ブレディさんは、現在あるもの自体を疑う人々のことを「面倒くさい人」と表現します。そして、もっと面倒くさい人を増やすため何ができるだろうと考えているそうです。私も、どうしたら面倒くさい人の一人になれるか考えてみたいと思います。(店主)

2018年2月18日日曜日

【本の紹介】ちいさなちいさなこおりのくに




 不思議なキャラクターの「ポコポコ」が活躍する絵本シリーズの最新作です。ポコポコは丸くて小さくてふわふわ。正体不明だけど、とても可愛らしい人気者です。
 ある日、雪が降ってポコポコは大喜び。でも、暖かい日だったのにどうして雪が降ったのでしょう。空を見上げると、銀色の氷の雲からしんしんと雪が降っています。ポコポコは風に流される氷の雲を追いかけてみることにしました。ポコポコの小さな冒険の旅が始まります。
 氷の雲を追いかけているうちに、ポコポコはいろいろなおうちを見つけて楽しいひとときを過ごします。カップケーキのおうちではプードルさんが雪だるまを作っていました。ポコポコも一緒に雪だるまを作り始めました。最後にたどり着いたのは「こおりのくに」。そこには氷の雲の帰りを心待ちにしていた銀色のきつねたちがいました。
 この絵本シリーズは7冊を数えるまでになりました。可愛い絵が子どもたちの心を引きつけるだけでなく、断面図のように描いたおうちの中のようすを子どもたちはわくわくしながら見ているのでしょう。「断面図えほんシリーズ」という呼び方もあるそうです。よく工夫されている絵本です。(店主)

ちいさなちいさなこおりのくに
さかいさちえ

教育画劇
本体1000円+税
2017年11月22日発行

【本の紹介】なんにもしないでいられるばしょ

 ねずみの子どもが、何もしないで静かにしていられる場所を探すお話です。その目的は明確です。ねずみの子どもは、自分が本当にやりたいことは何なのか、ゆっくり考えたかったのです。柔らかいタッチの美しい絵も魅力的な絵本です。  森の中に古い楡の木があります。その根元にねずみの一家が住んで...