ブログの説明

絵本・児童書の専門書店です。小さいカフェもあります。

絵本と楽しいひとときを過ごしましょう。素敵な絵本をご紹介します。大切な人とご一緒に、あるいはお一人でも。あなたにぴったりの絵本が見つかりますように!

2025年10月23日木曜日

【本の紹介】ニホンカモシカのパール(たくさんのふしぎ2025年11月号)




 ニホンカモシカと動物写真家の交流を描いた写真絵本です。カメラを見据えたニホンカモシカの目は、私たちに何を語りかけているのでしょう。

 ニホンカモシカは日本だけに見られる固有種で、本州、四国、九州に生息しています。名前に「シカ」とついていますが、ウシの仲間だそうです。

 動物写真家のこの絵本の作者は、なぜかニホンカモシカに「無性に会ってみたく」なり、青森県の下北半島の西の端に位置する脇野沢を訪れました。海岸ぞいの山々を何日も歩き回った末、ようやくニホンカモシカと衝撃的な出会いを果たします。それ以来、脇野沢に通うようになり、四季折々の姿を撮影するようになりました。

 2015年、春から夏に移り変わろうとする季節のある日、写真家の前に親子と思われる2匹のニホンカモシカが現れました。子どもはまだ産まれたばかりのようです。写真家は「パール」と名付け、その後の成長、そして親となって子育てするようすを見守ります。凛々しいその姿は、私たちに命の尊さを強く訴えます。(店主)


ニホンカモシカのパール(たくさんのふしぎ2025年11月号)

前川貴行 文・写真


福音館書店

2025年11月1日発行

定価810円(本体736円+税10%)


#くわのみ書房

2025年10月22日水曜日

【本の紹介】よる(かがくのとも2025年11月号)




 身近でありながら、なかなかうかがい知ることのできない世界があります。夜の世界です。この絵本が夜の世界を案内します。

 子どもがベッドで眠りにつきました。家の灯りが一つひとつ消えていきます。公園には誰もいません。神社には何かいる?

 でも、コンビニエンスストアは休むことなく、まぶしい光を放っています。電車の線路には点検作業中の整備員さんたち。大通りの道路工事も夜通し行われています。

 ほとんど黒一色で描いた夜の世界が美しく感じられます。間違いなく私たちの世界に繋がっていながら、遥か遠くにある別世界のようです。(店主)


よる

くらささら ぶん

嶽まいこ え


福音館書店

2025年11月1日発行

定価460円(本体418円+税10%)


#くわのみ書房

2025年10月21日火曜日

【本の紹介】とことこ くまさん(こどものとも0.1.2. 2025年11月号)

 




 こぐまの愛らしい姿に笑顔が浮かぶ絵本です。柔らかいタッチの絵は、こぐまの温もりも感じさせます。

 こぐまがとことこ、森の中を歩いています。お腹を空かせているようです。

 最初にはちみつを見つけました。手に取ってぺろぺろ舐めて美味しそう。続けてどんぐりも見つけます。森の中は美味しいものがいっぱいです。

 こぐまのうれしそうな表情が多くの共感を集めます。最後に見つけたやまぶどうは、木の上の方に実っていました。さて、こぐまはどうやって取るのかな? (店主)


とことこ くまさん(こどものとも0.1.2. 2025年11月号)

アヤ井アキコ さく


福音館書店

2025年11月1日発行

定価460円(本体418円+税10%)


#くわのみ書房


2025年10月18日土曜日

【本の紹介】もし ぼくが 鳥だったら パレスチナとガザのものがたり




 高い壁の前で、自分が鳥であったらと願う子どもの物語です。かつて子どもの家は壁の向こう側にありました。鳥になれば、壁を越えて家まで飛んでいけるでしょう。

 子どもは銃を持った人に家を追い出されたのです。今は壁に取り囲まれた狭い場所に住んでいます。

 そこはパレスチナのガザ地区というところ。ガザ地区はイスラエルが建設を進めている壁に封鎖され、ガザ地区に暮らすパレスチナの人々はイスラエルの人々と分断されている状態が続いています。

 親しみを感じさせる絵で、子どもの強い願いを表現しました。その願いは、ふるさとの家に帰ることだけではありません。パレスチナの争いが早く終わり、平和が訪れてほしいという願いです。それはすべての人々の願いでもあります。(店主)


もし ぼくが 鳥だったら パレスチナとガザのものがたり

文=ファーティマ・シャラフェッディーン

絵=アマル

訳=片桐里織


ゆぎ書房

2025年1月15日発行

定価[本体1,800円+税]


#くわのみ書房

【本の紹介】わたしのぞうさん




 お話は、かくれんぼから始まります。子どもとママが、お家の中で遊びます。

 最初は子どもが探す番。次はママが探す番。ママは「ふこうへいにならないように」、スカーフで自分の目を隠しました。子どもは目が見えないようです。

 子どもはパパと一緒に、博物館に行きました。動物の標本とか化石とか、特別に触らせてもらえます。パパに導かれて、子どもはぞうの牙と鼻に触ります。ぞうといっても、マンモスのようですね。そのとき以来、子どものそばにはいつも透明なぞうが寄り添うようになりました。

 目の見えない子どもの豊かな日常生活を描いた絵本です。シンプルな絵で、子どもの繊細な心が表現されています。(店主)


わたしのぞうさん

アンナ・アニーシモヴァ 文

ユーリヤ・シードネヴァ 絵

藤原潤子 訳


かけはし出版

2025年3月7日発行

定価:本体2000円+税


#くわのみ書房

2025年10月14日火曜日

【本の紹介】まんげつのよるのやくそく


 ちょっと切ないハロウィーンの夜を描いた絵本です。怖そうなお話を柔らかいタッチの絵でユーモラスに描きました。

 満月の夜、一人の子どもと仲良しの犬が寄り添います。そのとき交わした約束が子どもの心の拠り所となりました。

 年老いた犬はこの世から去り、子どもが一人残されます。生きる気力を失い、楽しいはずのハロウィーンの日も、気乗りがしないままお菓子集めもに出かけます。ガイコツの衣装を着た子どもが墓場を通り過ぎようとしたとき、本物の幽霊のガイコツが現れました。ガイコツに囲まれ、食べられそうになる子ども。大ピンチの子どもを救うために現れたのは…。

 ハロウィーンの夜も満月でした。満月の夜の約束は果たされ、子どもは自立の歩を進めます。子どもの成長を後押しする絵本です。(店主)


まんげつのよるのやくそく

エリック・ローマン 作

長友恵子 訳


朔北社

2023年9月30日発行

定価:本体1500円+税


#くわのみ書房

2025年9月26日金曜日

【お知らせ】今年も「おうえんカレンダー」を販売します!




 くわのみ書房は「12人の絵本作家が描くおうえんカレンダー2026」を販売します。1部1100円(税込)です。

 このカレンダーは、2011年の東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所事故の影響から子どもたちを守ろうという趣旨で作られるようになりました。今回で10年目という節目を迎えます。

 カレンダーの絵は12人の絵本作家が提供しました。はたこうしろう、あおきひろえ、うさ、長谷川義史、村上康成、山福朱実、おーなり由子、どいかや、降矢なな、荒井良二、谷口智則、酒井駒子のみなさんです。全国7カ所で開催予定の原画展会場では、絵本作家を招くイベントも企画されています。

 カレンダーの販売収益は、被曝から子どもたちを守るための活動をしている団体に寄付されます。詳しい情報は一般社団法人応援カレンダープロジェクトのウェブサイト(http://12ehoncalendar.com)をご参照ください。(店主)


#くわのみ書房

【本の紹介】風車と水車(たくさんのふしぎ2025年10月号)




 私たちは昔から、風車や水車を生活に役立ててきました。その知恵は廃れることなく、今また新しい可能性を生み出そうとしています。

 かつて風車や水車は、小麦と密接に関わりながら発展してきました。小麦を粉にする作業は大変な労力を必要としますが、昔の人々は風車や水車の力を小麦の粉挽きに活用しようと考えたのです。

 やがて風車や水車は、粉挽き以外のさまざまな用途に使われるようになります。水汲みやワインづくり、石材加工、製糸、鉱山など、多岐に渡る力仕事をこなすようになります。風車や水車は、風や水の流れといった自然に備わるエネルギーで回ります。私たちは、風車や水車を使って自然のエネルギーを力仕事のエネルギーに変えてきたのです。

 この絵本で、風車と水車の歴史を興味深く学ぶことができます。今では電気を起こす力になると期待を集めている風車と水車。まだまだ役割を終えることはなさそうです。(店主)


風車と水車(たくさんのふしぎ2025年10月号)

深井聰男 文

深井せつ子 絵


福音館書店

2025年10月1日発行

定価810円(本体736円+税10%)


#くわのみ書房

2025年9月23日火曜日

【本の紹介】リレーするじどうしゃ(かがくのとも2025年10月号)




 働くじどうしゃを紹介する絵本です。とても大きくて、普段は見るのないじどうしゃも登場します。

 山のふもとで大きなじどうしゃが土を掘っています。別のじどうしゃが土を運び、さらに別のじどうしゃがその土を受け取って、一時的に置いておく場所まで運びます。これらのじどうしゃはとても大きくて、普通の公道を走ることが出来ません。だから、私たちが目にする機会はほとんどないのです。

 次にやってきたのは先ほどよりも小型のじどうしゃ。土をすくい上げると、また別のじどうしゃに積み上げました。受け取ったじどうしゃは街中の道路を走って土を運び、工事現場に着きました。さらにいろいろなじどうしゃがリレーをするように働き、平らで丈夫な地面を作ることが出来ました。ここは新しい公園になるのです。

 迫力ある絵は見応えがあります。じどうしゃのそばには働く大人の姿も描かれています。見比べて、それぞれのじどうしゃの大きさを想像してみてください。(店主)


リレーするじどうしゃ(かがくのとも2025年10月号)

平山暉彦 さく


福音館書店

2025年10月1日発行

定価460円(本体418円+税10%)


#くわのみ書房

2025年9月20日土曜日

【本の紹介】くまちゃんのでばんです(こどものとも2025年10月号)




 優しい気持ちが浮かんでくる絵本です。人のために力を尽くす姿を描き、多くの人の共感を集めます。柔らかいタッチの絵とお話のイメージが、とてもよくマッチしています。

 くまのぬいぐるみの「くまちゃん」は、「ときちゃん」が赤ちゃんの頃からずっと一緒に過ごしてきました。ときちゃんは自分で紙飛行機を作れるくらい大きくなりましたが、今でもくまちゃんが一番のお友だちです。

 ときちゃんは紙飛行機を飛ばそうと、公園の滑り台のてっぺんに上ります。ときちゃんがもっともっと遠くへ飛べと力を込めると、紙飛行機は「すいーっ すいーっ」と公園の林を抜けて、ホントに遠くまで飛んでいってしまいました。そんなに遠くまで探しに行けないと泣き出してしまうときちゃん。さあ、ここはくまちゃんの出番です。

 果たしてくまちゃんは紙飛行機を無事連れ戻すことができるのか、ハラハラドキドキのお話が続きます。みんなでくまちゃんを応援しよう!(店主)


くまちゃんのでばんです(こどものとも2025年10月号)

林原玉枝 文

あいざわふみ 絵


福音館書店

2025年10月1日発行

定価460円(本体418円+税10%)


#くわのみ書房

2025年9月19日金曜日

【本の紹介】おつきさまと さんぽ(ちいさなかがくのとも2025年10月号)




 幻想的な満月の夜を深い青色で表現しました。昼間とは異なる非日常感にワクワクしてしまう絵本です。

 子どもが夜のお散歩に出かけました。外は暗いけど、おとうさんと、飼い犬のバンも一緒だから安心です。

 子どもは土手を歩いているとき、遠くにいるお月さまが自分についてきていることに気づきます。うれしくなった子どもは、お月さまをいろいろなところに連れていってあげました。

 子どもはお月さまと友だちになったようです。夜のお散歩で、自分の世界がまた一つ広がりました。(店主)


おつきさまと さんぽ(ちいさなかがくのとも2025年10月号)

八百板洋子 ぶん

平岡瞳 え


福音館書店

2025年10月1日発行

定価460円(本体418円+税10%)


#くわのみ書房

2025年9月17日水曜日

【本の紹介】たねをたべた けもの(こどものとも年少版2025年10月号)




 とてもシュールな絵本です。動物や植物の生命力の力強さを色鮮やかに描きました。

 一匹の「けもの」が見つけたのは「もりのたね」。「ぱくり!」と食べると、けものの体から「にょき」と木の芽が生えてきました。

 尻尾からも「にょき にょき」、耳からも「にょき にょき」。もりのたねを食べたけものの体は、みるみる森になってしまいました。その森に新しい命が宿り、ざわざわ騒ぎ始めると…。

 森と一体になったけものの体には多くの命が描き込まれ、私たちを圧倒します。やがて、その命は次の世代に引き継がれ、生きる喜びが広がっていくのです。(店主)


たねをたべた けもの(こどものとも年少版2025年10月号)

淺井裕介 さく



福音館書店

2025年10月1日発行

定価460円(本体418円+税10%)


#くわのみ書房

2025年9月16日火曜日

【本の紹介】ぺんぺん ぽろろん(こどものとも0.1.2. 2025年10月号)




 リズミカルに音が連なる絵本です。音に合わせて、絵もリズミカルに躍動します。

 ぺんぺん草やちょうちょ、たんぽぽの綿毛など、身近な自然の中に音の存在を見出します。私たちの身の回りで、すぐに見つけ出すことができる音ばかりです。

 私たち人間は、まず最初に音を通じて世界を認識するのかもしれません。音により、私たちは生きる喜びを感じるようになるのです。

 小さなこどもがリズミカルな音をとても喜ぶのは、自分の命を感じるから。この絵本を声に出して読めば、その喜びを子どもと共有できるでしょう。


ぺんぺん ぽろろん(こどものとも0.1.2. 2025年10月号)

いしげまりこ ぶん

まつばやしまこと え


福音館書店

2025年10月1日発行

定価460円(本体418円+税10%)


#くわのみ書房

2025年9月6日土曜日

【本の紹介】忍者からみた世界(たくさんのふしぎ2025年9月号)




 かつて子ども向けのテレビ番組や漫画で人気を博した忍者は、今では多くのファンが世界中にいるようです。その忍者の実像に、リアルに迫る絵本です。

 文章を書いた三橋源一さんは、忍者が生まれた地域の一つである三重県の伊賀地方に移住し、古文書を読み解いて忍者の研究をしています。農業や狩猟で生活の糧を得ながら、忍術の修行も行う強者です。

 山に囲まれた地域に暮らす忍者は、自分たちの暮らしを守るため、何よりも「情報」を大事にしていました。敵の情報を持ち帰るため、戦って討ち死にするのではなく、生き延びて帰ることが強く求められたのです。そんな独特な価値観が、忍者の人気を高めている要因の一つかもしれません。

 飯野和好さんの描く絵は迫力満点で、この絵本のイメージにぴったりです。テレビ番組でお馴染みだった十字手裏剣が実際に使われることはなかったと分かっても、忍者の魅力が損なわれることはありません。(店主)


忍者からみた世界(たくさんのふしぎ2025年9月号)

三橋源一 文

飯野和好 絵


福音館書店

2025年9月1日発行

定価810円(本体736円+税10%)


#くわのみ書房

【本の紹介】ニホンカモシカのパール(たくさんのふしぎ2025年11月号)

 ニホンカモシカと動物写真家の交流を描いた写真絵本です。カメラを見据えたニホンカモシカの目は、私たちに何を語りかけているのでしょう。  ニホンカモシカは日本だけに見られる固有種で、本州、四国、九州に生息しています。名前に「シカ」とついていますが、ウシの仲間だそうです。  動物写真...