ブログの説明

絵本・児童書の専門書店です。小さいカフェもあります。

絵本と楽しいひとときを過ごしましょう。素敵な絵本をご紹介します。大切な人とご一緒に、あるいはお一人でも。あなたにぴったりの絵本が見つかりますように!

2025年11月27日木曜日

【本の紹介】ララのまほうのことば




 植物と友だちになると、いいことが起こります。いいことって、どんなことでしょう。この絵本で見つけてみましょう。優しいタッチでのびのびと描かれた絵も素敵です。

 ララはとても元気な子ども。おかあさんに「あなた みたいな おてんば、ほかにいる?」といわれても、そんなことララには分かりません。

 ララには、ララだけの秘密の場所がありました。そこは土とコンクリートの空き地です。あちこちに緑の草と葉っぱが顔を出しています。ララはいつも緑の友だちの植物たちに優しい言葉を投げかけます。でも、いつも泥だらけのララにおかあさんはうんざりしているようです。

 夏の一番暑い日、とうとうララはおかあさんから外に出ることを禁止されてしまいました。緑の友だちに会えずに一夜を過ごしたララ。ところがその翌朝、太陽の光がいつもより穏やかになっていました。なぜかって? ララの「さいこうのおともだち」の姿に、街の人もララのおかあさんもびっくりしていますよ。(店主)


ララのまほうのことば

グレーシー・ジャン さく

やのあやこ やく


工学図書(山烋のえほん)

2025年7月6日発行

定価(本体1,800円+税)


#くわのみ書房

【本の紹介】藍染めのアポレンカ




 藍染めを愛し、大切に守ろうとする思いが結実した絵本です。美しい絵は藍染めの布の質感まで見事に再現し、私たちの心をとらえます。

 日本でもお馴染みの藍染めはヨーロッパでも広く行われていました。2020年には、オーストリア、チェコ、ドイツ、ハンガリー、スロヴァキアの5カ国による共同提案で、藍染めがユネスコ無形文化遺産に登録されています。

 この絵本はチェコの藍染め工房を舞台に、人形が人間の子どもになるというファンタジーからお話が展開します。藍染め職人のおじいさんはおばあさんと二人仲良く暮らしていましたが、子どもがいないことが悩みでした。ところが、ある日、森で見つけた人形を連れて帰ると、その翌朝、人形にそっくりな女の子が台所に現れたのです。

 アポレンカと名付けられた女の子は、おじいさんの仕事を気に入り、藍染めの方法を学びます。絵本を通じて私たちも藍染めを深く知ることになり、その控えめな美しさにあらためて魅せられるのです。(店主)


藍染めのアポレンカ

作 ロマナ・コシュトコヴァー

絵 ヴェロニカ・ヴェルコバー ヤン・シュラーメク

訳 小川里枝


求龍堂

2023年11月13日発行

定価(2,500円+税)


#くわのみ書房

2025年11月22日土曜日

【本の紹介】とびたくないヒコーキ ポッポ




 小さな飛行機の成長を描いた絵本です。思いがけず飛び込んだ世界が素晴らしい景色を見せてくれました。プロ・パイロットの免許を持つ絵本作家の作品です。

 ポッポは、花模様も可愛らしい小さなヒコーキです。まだ空を飛んだことはありません。飛ぶための勉強に励んでいますが、「もし なにかあったら どうしよう」と心配はつきません。

 そのときポッポがプロペラを回していたのは、体の調子を見ようと思ったからでした。でも、どんどん風が強くなって、いつの間にかポッポの体は浮き上がり、ぐんぐん空高く上がっていくではありませんか。そして、大きな雲に吸い込まれてしまいます。

 空では自分だけが頼りです。ポッポは地上に無事戻ることができるのでしょうか。ハラハラドキドキの冒険で、ポッポは一人前のヒコーキになれるかな。(店主)


とびたくないヒコーキ ポッポ

絵羽のりこ


WCC365+1 label(ウーマンクリエイターズカレッジ365プラスワンレーベル)

2025年8月29日発行

定価2,024円(本体1,840円+税10%)


#くわのみ書房

2025年11月19日水曜日

【本の紹介】白さぎ

 



 少女の心のざわつきを繊細に綴る物語です。丁寧に描かれた挿絵が美しく調和し、物語の世界に奥行きを与えています。

 少女のシルヴィアは祖母と二人、農場で暮らしています。8歳まで工場の町で暮らし、1年前に初めて農場にやってきました。野山歩きを好み、今では森の中を歩き回ることが好きな雌牛と多くの時間を過ごすようになりました。

 シルヴィアは森の中で、銃を肩にした背の高い若い男と出会います。若者は、ある鳥を探していました。鳥を集め、剥製にしているのです。若者は近くで白さぎを見かけ、追ってきたと言います。その白い鳥を見たことがあるシルヴィアは…。

 物語の舞台は、アメリカ北東部のニューイングランドと呼ばれているところです。美しく描写された自然の中で少女の心が揺れ動きます。読み終えたときの余韻が心地よい作品です。(店主)


白さぎ

セアラ・オーン。ジュエット 作

バーバラ・クーニー 絵

石井桃子 訳


のら書店

2025年7月22日発行

定価:1800円(税別)


#くわのみ書房

【本の紹介】秋岡教授の音楽学を愉しむ24の扉




 そもそも「音楽学」という学問分野は、なかなか理解しづらいものと思われます。音楽に関する事柄すべてが研究対象になっているそうで、この本のあとがきでも「かなり裾野が広い学問分野」とされています。その広さゆえに、何をやっているのか、よく分からない。

 この本の著者、秋岡陽さんは音楽学を専門とする研究者です。この本でも音楽に関する幅広いトピックを取り上げ、タイトルに「音楽学を愉しむ」とありますが、そのトピックを誰よりもご本人が愉しまれています。

 書いている人がこれだけ愉しんでいると、読む人も愉しくなるのは当然の成り行きです。ほとんどクラシック音楽にまつわるトピックですが、堅苦しさのない記述に誰もが引き込まれていきます。インターネットを通じて豊富な資料が閲覧できるようにな理、さらに多くの演奏まで聴くことができるようになったことも紹介されています。すでに多くの人が音楽を多様に享受できる環境は整えられているのです。

 秋岡さんは長く大学教授として教鞭をとり、その講義の内容もこの本の中に散りばめられているようです。実は、秋岡さんはくわのみ書房店主の大学時代の先輩。今まで知らなかった秋岡さんの素顔を垣間見たようで、とても興味深く読ませていただきました。(店主)


秋岡教授の音楽学を愉しむ24の扉

秋岡陽


音楽之友社

2024年8月発行

2,420円 (本体2,200円+税)

2025年11月15日土曜日

【本の紹介】イタリアの丘の町(たくさんのふしぎ2025年12月号)

 



 イタリアへの愛が詰まった絵本です。読む人をイタリアの「丘の町」に誘います。

 イタリアは、1861年に統一国家としてのイタリア王国の成立が宣言されるまでいくつもの小さな国に分かれ、それぞれの国は山の上に城壁をめぐらせた自分たちの町をつくっていました。山岳都市とも呼ばれるこれらの丘の町は、今でもイタリア各地に残っています。

 この絵本の作者の古山浩一さんは、年に一度、イタリアなどの古い街並みが残るところ訪ね歩き、スケッチを描いているそうです。この絵本では、イタリアのスカンノ、ボマルツォ、マテーラ、ラグーサ、ピティリアーノといった、あまり馴染みのない地名の町を紹介します。精緻なスケッチに目を見張ります。ペン先の太さが異なる約30本の万年筆を駆使して描きました。

 町全体を俯瞰するアングルがある一方、家の玄関の扉や人々の暮らしぶりに着目したスケッチもあります。イタリアの風を濃密に感じさせる絵本です。(店主)


イタリアの丘の町(たくさんのふしぎ2025年12月号)

古川浩一 文・絵


福音館書店

2025年12月1日発行

定価810円(本体736円+税10%)


#くわのみ書房

2025年11月14日金曜日

【本の紹介】くんくん すぴすぴ(ちいさなかがくのとも2025年12月号)




 犬は匂いを嗅ぐことが大好き。「くんくん すぴすぴ」と、鼻を興味のあるものにくっつけようとします。

 この絵本に登場するトイプードルの「ニコ」も、いろいろなものに鼻先を向けています。原っぱで出会った大きい犬とは、お互いにお尻の匂いを嗅ぎ合っています。どうしてかな?

 これは犬同士の自己紹介のような行動だそうです。絵本のおりこみふろくの解説によると、犬はお尻の近くにある肛門腺というところから出てくる匂いで、その犬の年齢、性別、そして健康状態まで読み取るそうです。犬はお尻の匂いを通じてお互いを知り、お友だちになるようです。

 犬の鼻って、すごいですね。犬のことを知れば、もっと犬と仲良くなれそうです。(店主)


くんくん すぴすぴ(ちいさなかがくのとも2025年12月号)

片川優子 ぶん

鈴木智子 え


福音館書店

2025年12月1日発行

定価460円(本体418円+税10%)


#くわのみ書房

2025年11月12日水曜日

【本の紹介】せんにんのいし(こどものとも2025年12月号)




 不思議な世界を旅する絵本です。旅をする主人公のボノさんは、青い服を着て、青い帽子を被り、赤い鞄を肩に下げて、なかなかカッコいい。

 ボノさんの前に突然、山によく似た石が現れます。石は何回捨てても戻って来ます。石から聞こえてくる声に導かれ、気づくとボノさんは大きな岩山のふもとに立っていました。

 声の主は「フラフラせんにん」でした。「そのみちをのぼってきておくれ」と言われたボノさんの旅が始まります。いくつか困難もありましたが、せんにんの手助けもあって、ボノさんは山の上まで無事たどり着くことができました。ボノさんはせんにんと出会い、二人仲良くお風呂に入って楽しそうです。

 ボノさんが旅した世界は、どうやら山のような形をした石の表面に広がっていたようです。ボノさんはもとの家に戻ることができました。せんにんのいしは、まだそこにあります。フラフラせんにんもしばらく、ボノさんの家にいるようですよ。(店主)


せんにんのいし(こどものとも2025年12月号)

たむらしげる


福音館書店

2025年12月1日発行

定価460円(本体418円+税10%)


#くわのみ書房

2025年11月11日火曜日

【本の紹介】ゆきが まちどおしい ヤチネズミさん(こどものとも2025年12月号)




 愛らしい動物たちの姿に惹き付けられます。雪の季節を背景に、動物たちのあたたかい物語を綴った絵本です。

 畑の隅にヤチネズミさんが暮らしています。雪が降ることを楽しみに待っているようです。

 やがて雪でお家の窓も埋まってしまいました。ヤチネズミさんは外に出て、雪を掘って進みます。雪の中を行けば、キツネにもテンにも、タカにもフクロウにも見つからず、安全なのです。

 ヤチネズミさんが訪ねた先は、ヒメネズミさんのお家。プレゼントを交換し、楽しい夜を過ごしました。自然の中で生き生きと過ごす動物たちを魅力的に描きました。(店主)


ゆきが まちどおしい ヤチネズミさん(こどものとも2025年12月号)

あかしのぶこ さく


福音館書店

2025年12月1日発行

定価460円(本体418円+税10%)


#くわのみ書房

2025年11月7日金曜日

【本の紹介】どっちからくるのかな?(こどものとも0.1.2. 2025年12月号)




 いろいろな乗り物が登場する絵本です。乗り物だから、動いて登場します。

 見えないところから登場します。見えなくても、音が聞こえてきます。

 「ウー ウー ウー」とサイレンを鳴らして消防車が来たようです。右か左か、どっちから来るのかな?

 あっちこっちから乗り物がやってきます。小さな子どもたちは何回も読むうちに、どっちから来るか分かってしまうでしょう。でも、きっと何回も繰り返し、この絵本を楽しむと思います。(店主)


どっちからくるのかな?(こどものとも0.1.2. 2025年12月号)

山崎杉夫 さく


福音館書店

2025年12月1日発行

定価460円(本体418円+税10%)


#くわのみ書房

2025年11月6日木曜日

【本の紹介】絵の中のどろぼう




 荒唐無稽なストーリーの絵本です。どろぼうが絵の中と外を自由に行き来します。

 どろぼうが隠れ場所に選んだのは絵の中でした。ここなら誰にも見つからないと思ったどろぼうは、そのまま眠り込んでしまいます。

 その後も、テンポよくお話が進みます。モノクロの絵はダイナミックな構図で、読む人の目を引き付けます。お話と絵がバランスよく調和し、リアリティのある不思議な絵本の世界を生み出しています。

 絵はいろいろな人の手に渡りますが、どろぼうはいつも一緒。絵を抜け出したり、また入り込んだり、好き放題ですが、最後は…。この面白いお話を書いた友部正人さんは長い間活躍するシンガーソングライターです。(店主)


絵の中のどろぼう

文・友部正人

絵・シズキコージ


架空社

2025年1月発行

定価(本体1500円+税)


#くわのみ書房

2025年11月4日火曜日

【お知らせ】YouTube でインタビュー動画がご覧いただけます!




 くわのみ書房店主のインタビュー動画をYouTube でご覧いただけます。25分間ほどの動画です。

 千葉県習志野市のひまわり保育園が開設するYouTubeチャンネル「100日後に友達いっぱい広報ラボ」でインタビュー動画を企画していただきました。くわのみ書房店主が初めてYouTubeに登場します。

 ひまわり保育園は習志野市で4つの小規模認可保育園を運営しています。広報活動の一環としてYouTubeチャンネルを開設し、情報発信に努めていらっしゃいます。

 くわのみ書房店主が書店開設の経緯や絵本に対する思いなど、たっぷり(?)語りました。どうぞお時間のあるときにご覧ください。(店主)


https://youtu.be/iduahO0oX5U?si=sUfZa8AYBl_nsJ3Z


#くわのみ書房

2025年10月30日木曜日

【お知らせ】「おうえんカレンダー」、販売中です!




 くわのみ書房は「12人の絵本作家が描くおうえんカレンダー2026」を販売しています。1部1100円(税込)です。

 2011年、東日本大震災とともに東京電力福島第一原子力発電所事故が発生しました。原初事故の影響から子どもたちを守ろうという趣旨でこのカレンダーが作られるようになり、今回で10年目という節目を迎えます。

 カレンダーの絵を提供したのは12人の絵本作家。はたこうしろう、あおきひろえ、うさ、長谷川義史、村上康成、山福朱実、おーなり由子、どいかや、降矢なな、荒井良二、谷口智則、酒井駒子のみなさんです。原画展が全国各地で続いています。

 カレンダーを販売することで得られた収益は、被曝から子どもたちを守るための活動をしている団体に寄付されます。詳しくは一般社団法人応援カレンダープロジェクトのウェブサイト(http://12ehoncalendar.com)をご参照ください。(店主)


#くわのみ書房

2025年10月29日水曜日

【ご案内】宮田ともみ『くまさんのふーっ!』の一日原画展を開催します!


 絵本作家・宮田ともみさんの新刊『くまさんのふーっ!』が発売されました。くわのみ書房は『くまさんのふーっ!』の一日原画展を開催します。

 この絵本は、寒い寒いとためいきばかりついているくまさんが主人公。そんなことでは、ためいきぼうやがやってきて、楽しいことをぜんぶ吹き飛ばしてしまいますよ!

  元気よく北風と一緒にお外を駆け回り始めたくまさん。心も体もぽっかぽかになりました。

 優しいタッチの絵から、くまさんの温もりが伝わります。ぜひ原画をご覧になり、その暖かさを確かめてください。(店主)



くわのみ書房の一日原画展

-宮田ともみ『くまさんのふーっ!』-

 

日時:2025年12月6日(土)11:00-18:00

会場:くわのみ書房

入場無料

 

#くわのみ書房

【本の紹介】ララのまほうのことば

 植物と友だちになると、いいことが起こります。いいことって、どんなことでしょう。この絵本で見つけてみましょう。優しいタッチでのびのびと描かれた絵も素敵です。  ララはとても元気な子ども。おかあさんに「あなた みたいな おてんば、ほかにいる?」といわれても、そんなことララには分かり...