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絵本・児童書の専門書店です。小さいカフェもあります。

絵本と楽しいひとときを過ごしましょう。素敵な絵本をご紹介します。大切な人とご一緒に、あるいはお一人でも。あなたにぴったりの絵本が見つかりますように!

2025年9月17日水曜日

【本の紹介】たねをたべた けもの(こどものとも年少版2025年10月号)




 とてもシュールな絵本です。動物や植物の生命力の力強さを色鮮やかに描きました。

 一匹の「けもの」が見つけたのは「もりのたね」。「ぱくり!」と食べると、けものの体から「にょき」と木の芽が生えてきました。

 尻尾からも「にょき にょき」、耳からも「にょき にょき」。もりのたねを食べたけものの体は、みるみる森になってしまいました。その森に新しい命が宿り、ざわざわ騒ぎ始めると…。

 森と一体になったけものの体には多くの命が描き込まれ、私たちを圧倒します。やがて、その命は次の世代に引き継がれ、生きる喜びが広がっていくのです。(店主)


たねをたべた けもの(こどものとも年少版2025年10月号)

淺井裕介 さく



福音館書店

2025年10月1日発行

定価460円(本体418円+税10%)


#くわのみ書房

2025年9月16日火曜日

【本の紹介】ぺんぺん ぽろろん(こどものとも0.1.2. 2025年10月号)




 リズミカルに音が連なる絵本です。音に合わせて、絵もリズミカルに躍動します。

 ぺんぺん草やちょうちょ、たんぽぽの綿毛など、身近な自然の中に音の存在を見出します。私たちの身の回りで、すぐに見つけ出すことができる音ばかりです。

 私たち人間は、まず最初に音を通じて世界を認識するのかもしれません。音により、私たちは生きる喜びを感じるようになるのです。

 小さなこどもがリズミカルな音をとても喜ぶのは、自分の命を感じるから。この絵本を声に出して読めば、その喜びを子どもと共有できるでしょう。


ぺんぺん ぽろろん(こどものとも0.1.2. 2025年10月号)

いしげまりこ ぶん

まつばやしまこと え


福音館書店

2025年10月1日発行

定価460円(本体418円+税10%)


#くわのみ書房

2025年9月6日土曜日

【本の紹介】忍者からみた世界(たくさんのふしぎ2025年9月号)




 かつて子ども向けのテレビ番組や漫画で人気を博した忍者は、今では多くのファンが世界中にいるようです。その忍者の実像に、リアルに迫る絵本です。

 文章を書いた三橋源一さんは、忍者が生まれた地域の一つである三重県の伊賀地方に移住し、古文書を読み解いて忍者の研究をしています。農業や狩猟で生活の糧を得ながら、忍術の修行も行う強者です。

 山に囲まれた地域に暮らす忍者は、自分たちの暮らしを守るため、何よりも「情報」を大事にしていました。敵の情報を持ち帰るため、戦って討ち死にするのではなく、生き延びて帰ることが強く求められたのです。そんな独特な価値観が、忍者の人気を高めている要因の一つかもしれません。

 飯野和好さんの描く絵は迫力満点で、この絵本のイメージにぴったりです。テレビ番組でお馴染みだった十字手裏剣が実際に使われることはなかったと分かっても、忍者の魅力が損なわれることはありません。(店主)


忍者からみた世界(たくさんのふしぎ2025年9月号)

三橋源一 文

飯野和好 絵


福音館書店

2025年9月1日発行

定価810円(本体736円+税10%)


#くわのみ書房

2025年9月4日木曜日

【本の紹介】すうじむらのおみせ(こどものとも2025年9月号)




 数字が可愛いキャラクターになって登場する絵本です。あらためて見ると、数字はとても面白い形をしています。

 私たちの身近な数字には、アラビア数字とローマ数字がありますが、一つひとつユニークな形をしているのは、やはりアラビア数字。この絵本のキャラクターはアラビア数字が元になっています。

 ある日、「すうじむら」に暮らす「すうじ」たちはお店を始めることになりました。みんな自分の形に似たものを売っています。ところが、4の「よんちゃん」のお店には何も並んでいません。よんちゃんは何を売ればよいのか、少しも思いつかないのです。

 私たちの身の回りで数字さがしをしてみましょう。この絵本に描かれたもの以外にもたくさんありそうですね。さて、よんちゃんは何を売ることにしたのかな。(店主)


すうじむらのおみせ(こどものとも2025年9月号)

みずはらゆうか ぶん

Fantom え


福音館書店

2025年9月1日発行

定価460円(本体418円+税10%)


#くわのみ書房

2025年9月3日水曜日

【本の紹介】さかなの おそうじやさん(かがくのとも2025年9月号)




 海の魚がお互いに助け合って生きるようすを描いた科学絵本です。珊瑚礁の海に暮らす魚たちを色鮮やかに描きます。

 最初の見開きページをみると、大きな赤い魚が口を広げて小さい魚を飲み込もうとしています。危機一髪、と思ったら、大きな魚はずっと口を開けたまま。小さい魚は口の中をつんつん、のんびりつついています。

 実は、小さな魚は大きな魚の体についた汚れや小さな生き物を食べて綺麗にしているのです。つまり、小さな魚は大きな魚にとって大切な「おそうじやさん」。さっぱりした大きな魚がその場を去ると、次は別の緑色の大きな魚がやって来て、おそうじをお願いしています。小さい魚は、こうしてお腹を満たすのです。

 作者の大村文乃さんは海洋生物の研究者でもあります。美しい珊瑚礁の海と、そこに暮らす生き物たちの豊かな世界を存分にお楽しみください。(店主)


さかなの おそうじやさん(かがくのとも2025年9月号)

大村文乃 ぶん・え


福音館書店

2025年8月1日発行

定価460円(本体418円+税10%)


#くわのみ書房

2025年9月2日火曜日

【本の紹介】むしの へんしん(ちいさなかがくのとも2025年8月号)




 セミの羽化を描いた絵本です。それを観察する子どもも描きます。

 公園からの帰り道、何かの虫を見つけた子どもは、家に連れて帰ることにしました。おかあさんに言われた通りカーテンにとめておき、翌朝目覚めると、それはセミになっていました。セミの変身を見損ねた子どもは、とても残念そうです。

 私もセミの羽化を実際に観たことがあります。夏の日、暗くなってしばらくした後、木の幹にしがみ付くセミの幼虫を見つけると、やがて背中が割れて白く半透明のセミが現れました。それは、まさに神秘的なドラマです。その後、セミは一晩かけて、私たちが昼間目にする姿になるのです。

 翌日、絵本の子どもはセミの変身を無事見届けることが出来ました。子どもの感動は多くの人の共感を招きます。セミが変身する様をとても美しく表現した絵も見応えがあります。(店主)


むしの へんしん(ちいさなかがくのとも2025年8月号)

澤口たまみ ぶん

辻川奈美 え


福音館書店

2025年8月1日発行

定価460円(本体418円+税10%)


#くわのみ書房

【本の紹介】かぐやひめ(こどものとも2025年8月号)




 多くの人が知っている「竹取物語」の新しい絵本です。色彩豊かに描かれた美しい絵が読む人を魅了します。再話には、きめ細かい気配りが感じられます。

 主人公の「かぐやひめ」をめぐる数奇な物語は、今でも色褪せることはありません。竹から生まれ、やがて月に帰っていく。これほど豊かな想像力はどこから生まれたのでしょう。

 月から来るお迎えを阻止するため、帝は多くの兵士をそろえますが、誰も立ち向かうことが出来ません。月の人々の力は私たち人間のそれをはるかに凌駕し、人間は成す術もなく見守るしかないのです。

 かぐやひめは月に戻る前、月にいる自分と人間の関係が断たれることはないと示唆します。竹取物語は、月を人間にとっていっそう身近な存在にしています。(店主)


かぐやひめ(こどものとも2025年8月号)

中脇初枝 再話

中井智子 絵


福音館書店

2025年8月1日発行

定価460円(本体418円+税10%)


#くわのみ書房

2025年8月22日金曜日

【本の紹介】ピッテラトッコ キャンプにいく(こどものとも年中向き2025年9月号)




 小さなリスのコックさんが大活躍する絵本です。街の仲間の動物たちもたくさん登場します。

 リスの名前はピッテラトッコ。レストランを開いています。お休みの日、ピッテラトッコはとんがりやまのみずうみまでキャンプに行くことにしました。

 元気よく出発しましたが、次々にウサギやタヌキ、クマのお家で声をかけられ、一仕事する羽目に陥ります。頼まれたら断れないピッテラトッコ。美味しい料理を作るのはお手のものです。

 ほのぼのとしたお話と、柔らかなタッチの絵がとてもよくマッチしています。ところで、キャンプはどうなったのでしょう。ピッテラトッコはやまを登り、みずうみに着きますが、大事なものを忘れていました。ピンチを救ってくれたのは仲間の動物たち。みんなで楽しいひとときを過ごすことが出来ました。(店主)


ピッテラトッコ キャンプにいく(こどものとも年中向き2025年9月号)

くらささら 文

おくやまゆか 絵


福音館書店

2025年9月1日発行

定価460円(本体418円+税10%)


#くわのみ書房

2025年8月21日木曜日

【本の紹介】ごりらの おばあちゃん(ちいさなかがくのとも2025年9月号)




 ごりらを生き生きと描いた絵本です。この絵本を読めば、きっとごりらが好きになります。

 ごりらのばあちゃんと、その孫の会話が続きます。孫は、ばあちゃんに遊んでほしくてたまらないようです。

 もちろん、ごりらが人間の言葉で会話することはありえません。でも、本当にこんな会話が聞こえてくるような気がします。ごりらは賢い動物だから、人間と同じような感情を持ってコミュニケーションをしているのかもしれません。

 どうやら孫は、かあさんが小さいあかちゃんをかまってばかりいるので面白くないようです。そんな孫を、ばあちゃんはやさしく抱っこしてあげました。ほら、ごりらがもっと好きになったでしょ。(店主)


ごりらの おばあちゃん(ちいさなかがくのとも2025年9月号)

小風さち ぶん

阿部知暁 え


福音館書店

2025年9月1日発行

定価460円(本体418円+税10%)


#くわのみ書房

2025年8月20日水曜日

へーん! しーん!(こどものとも年少版2025年9月号)




 ありえないことが起こる絵本です。子どもの変身が止まりません。

 扉のページからお話が始まります。「ぼく へんしんするよ」という子どもの顔にひげが生えてきました。

 耳が伸びたと思ったら、あっという間に「ねこ」に変身。その後は「すいか」、そして「たこ」。変身はまだまだ続きます。最後に変身するのは…。

 付録の「絵本のたのしみ」に掲載された「作者のことば」を興味深く読みました。「良いコミュニケーションをとろうとすること」は「その相手に変身すること」という指摘に頷きました。(店主)


へーん! しーん!(こどものとも年少版2025年9月号)

坂井治 さく


福音館書店

2025年9月1日発行

定価460円(本体418円+税10%)


#くわのみ書房

きってみよう(こどものとも0.1.2. 2025年9月号)


 くだものを味わう絵本です。くだものの瑞々しい絵から甘い香りが伝わります。

 くだものはそのままの姿を見ても楽しめますが、食べるために切ってみると、外側と内側の違いに驚かされます。子どもたちも興味津々に見入るはず。

 この絵本では身近なくだものを食べやすく切って見せてくれます。りんごをうさぎに見立てる切り方は定番です。くだものにはそれぞれに相応しい切り方があることに気づきます。

 最後に、大皿に盛ったたくさんのくだものが描かれます。とても華やかで、大人もウキウキしてきます。(店主)


きってみよう(こどものとも0.1.2. 2025年9月号)

松永悠一郎 さく


福音館書店

2025年9月1日発行

定価460円(本体418円+税10%)


#くわのみ書房

2025年8月5日火曜日

【お知らせ】くわのみ書房の夏休み




 くわのみ書房は夏休みをいただきます。8月3日(日)から18日(月)までお休みします。(店主)


#くわのみ書房

2025年8月2日土曜日

【本の紹介】バナナのらんとごん




 バナナのきょうだいの旅を描いた絵本です。フィリピン生まれのバナナが、美味しく食べてもらうことを夢見て日本にやってきます。

 バランゴンバナナのらんとごんは、100人もいるきょうだいの中で一番の仲良しです。都会から離れた山の中で暮らし、ココナッツやカカオ、コーヒー、ピーナッツなど、いろいろな作物と一緒に育ちます。

 立派なバナナになったらんとごんは収穫され、カラバオと呼ばれる水牛で集合場所に運ばれます。さらにトラックに乗って港まで行き、船に乗って日本に到着しました。ところが、「ばきっ」という音とともに、二人は離れ離れにされてしまいます。らんとごんは、これからどうなってしまうのでしょう。

 たくさんの人の助けがあって日本に届けられるバナナ。そんなバナナを少しでも無駄にしたくないですね。そして、食べる人だけでなく、バナナに関わるみんなが幸せになりますように!(店主)


バナナのらんとごん

さく・ちばたかこ

え・かとうえりこ


APLA/らくだ舎出帆室

2024年12月15日発行

定価(本体2500円+税)


#くわのみ書房

2025年7月31日木曜日

【本の紹介】きつねの木




 生きる喜びを感じさせる絵本です。大きな木をよりどころにして成長するこぎつねの姿を描きます。軽やかなタッチと優しい色使いの絵で、自然を生き生きと表現しました。

 2匹のこぎつねが、お家から外に出たいとそわそわしています。おとうさんぎつねは「そろそろいいかもしれないな」。おかあさんぎつねは「そうね、あの木の ところまでね」。こぎつねたちは大きな木を目指して走り出しました。

 こぎつねたちは、うれしくて木の周りを飛び跳ねます。最初に挨拶したのはヒヨドリです。春風が吹くようになり、木にどっさりと赤い実がなりました。ヒヨドリは、こぎつねたちが食べた実の種がうんちと一緒に出てきて、やがて芽を出し、大きな木に育っていくと教えてくれました。こぎつねたちは、それは「ぼくたちの木」で「きつねの木」だとうれしくなりました。

 季節はめぐり、こぎつねたちは、大きな木とそこに集まる生き物たちと一緒に成長します。大人になり、木を離れますが、命を繋がる場は輝きを失うことはありません。(店主)


きつねの木

石川えりこ


講談社

2025年4月15日発行

定価:本体1600円(税別)


#くわのみ書房

【本の紹介】たねをたべた けもの(こどものとも年少版2025年10月号)

 とてもシュールな絵本です。動物や植物の生命力の力強さを色鮮やかに描きました。  一匹の「けもの」が見つけたのは「もりのたね」。「ぱくり!」と食べると、けものの体から「にょき」と木の芽が生えてきました。  尻尾からも「にょき にょき」、耳からも「にょき にょき」。もりのたねを食べ...