春になると稲作りの準備が始まります。田んぼの土が掘り返され、やがて水が入ります。水をはった田んぼは、それまでとは違った姿を見せるようになります。この絵本の作者の澤口たまみさんがとても楽しみにしている季節です。
絵本では田んぼに水が満たされた夜、「ぼく」がカエルの声に誘われて、かあさんと一緒に外に出ます。夜空にお月様が一つ、そして田んぼの中にも一つ。田んぼはまるで鏡のように、お月様を映します。
青空に雲が一つ浮かんでいれば、やっぱり田んぼにもう一つ。夕方になって雲が広がれば、田んぼも雲で埋まります。田んぼに水が溜まれば、「田んぼが鏡になる季節」が始まります。
この季節の田んぼには、カエルやアメンボも集まります。生命のエネルギーが満ち溢れた場所になります。くわのみ書房がある千葉県習志野市にも田んぼが残されています。「NORAの会」という市民団体が地域の農家からその田んぼを借りて、子どもたちの田植え体験や昔懐かしい風景を残すための活動に取り組んでいます。田んぼの魅力を再確認したいと思います。(店主)
たんぼに あおぞら みーつけた!(ちいさなかがくのとも2018年5月号)
澤口たまみ ぶん
山口哲司 え
福音館書店
2018年5月1日発行
本体389円+税
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