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2016年7月30日土曜日

【本の紹介】なきむしこぞう



なきむしこぞう
理論社

今村葦子・さく
酒井駒子・え

 静かな夏の夕方、小さな家の黄色いドアが開き、ぬいぐみの象ときりんとライオンが出てきました。ぬいぐるみたちは家出をしてきたのです。持ち主のあの子が大事にしてくれないから、もといた動物園の売店に帰るつもりです。
 家出するにしては、ちょっと臆病なぬいぐるみたち。初めて見る飛行機雲も怖がっています。象は泣き出して、きりんから「なきむしこぞうさん」なんてからかわれています。でも、そういうきりんも泣き出しそう。
 すると、屋根裏に住んでいるねずみが出てきて言いました。「ふふふっ! おかしいたっら、ありゃしないよ」
 ぬいぐるみたちがいなくなったことに気づいたあの子が泣いているというのです。「まったく、あきれた、なきむしこぞうだよ」
 あの子のぬいぐるみたちへの思い、そしてぬいぐるみたちのあの子への思いが胸を締め付けます。どうやら、ぬいぐるみたちもあの子も、みんな「なきむしこぞう」だったようです。酒井駒子さんの絵は多くの大人たちも惹きつけます。

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