小さな旅の絵本です。子どものころに暮らした海辺の町に帰る旅です。青い空と海の水平線が鮮やかに描かれています。
夏休みを過ごした古い洋館は、おばあさんの家でした。屋根裏の部屋に残されたおもちゃ箱の中に見つけた赤いボタンは、くまのぬいぐるみのチョッキについていたもの。くまの「モルン」は大切な友だちでした。
病院に行くとき、本を読むとき、そしておやつの時間も、モルンといつも一緒でした。夜、夢の中でモルンと一緒に月に行くと、そこはまぶしい光が満ちた遊園地。大人気のジェットコースターの人ごみに紛れ、モルンと離ればなれになったとき、チョッキの赤いボタンが取れてしまいます。そして、夢から覚めたあと、もうモルンと会うことはありませんでした。
でも、古い洋館の屋根裏の部屋には子どものころの大切な思い出も残されていました。忘れていても、思い出はそこで待っていてくれたのです。僕への小さな旅を終えるときがきました。思い出と一緒に帰ることにしましょう。(店主)
僕への小さな旅
伊藤正道
ポプラ社
2006年9月12日発行
定価:本体1,400円[税別]

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