チェコの昔話の絵本です。私たちを川の中の別世界に誘います。柔らかいタッチの絵がダイナミックに展開するお話のイメージを優しく広げます。
ヴォドニークは水の世界に住む水辺の主です。ある日、貧しさに耐えかねて家を飛び出した娘が川の岸辺を歩いていました。ヴォドニークは身を投げようとしている娘をさっと捕まえて、川の中の自分の館に連れてきました。
ヴォドニークに仕えて暮らし始めた娘は、大きなストーブのある広間の掃除を言いつけられます。でも、ストーブの上の小さなつぼの蓋を開けてはならないといわれます。そのつぼにはヴォドニークが溺れさせた人たちの魂が閉じ込められていたのです。それを知った娘は、水の館から逃げ出します。そして、つぼに閉じ込められた魂たちも逃がしてあげました。
チョコは内陸の国で海はありません。でも、人々は湖や池や川のそばで、水辺の生活を楽しんでいるそうです。そうした中で、水の館に暮らす魔物の物語が生まれたのでしょう。昔話の深みを感じます。この物語を通じて、私たちの魂も救われるように思います。(店主)
ヴォドニークの水の館
まきあつこ 文
降矢なな 絵
BL出版
2021年4月1日発行
定価:[本体1,600円]+税
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