戦争を憎み、平和を願う作者の強い思いが伝わる絵本です。すべての人に戦争のない平和な日々が訪れるよう、作者とともに祈りたいと思います。
自伝的なお話です。秋は気候も穏やか、果物も美味しい。作者の「私」が一番好きな季節です。でも、とてもいやな秋だったことがありました。昭和19年(1944年)の秋でした。「私」は18歳で、旧制高校の2年生。当時、日本はアメリカと激しい戦争をしていました。そんな最中に「私」は盲腸炎になり、入院して手術をすることになります。
入院が長引いた「私」は病院の地下壕から恐ろしい情景を目にします。墜落しようとする日本の戦闘機から飛行士が飛び出し、落下傘が開かないまま落ちていったのです。この飛行士だけではありません。「私」の周りの人たちの多くが戦争によって命を失います。
翌年、日本は負けて、戦争は終わりました。なぜ戦争なんかしようとするのでしょう。「私」の声は多くの人の胸に突き刺さります。(店主)
秋
かこさとし
講談社
2021年7月27日発行
定価:本体1600円(税別)

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