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2021年9月16日木曜日

【本の紹介】コケのすきまぐらし(たくさんのふしぎ2021年10月号)




 俄然、コケに興味が湧いてくる絵本です。コケの観察が趣味という作者が、その魅力をたっぷり紹介します。


 今すぐコケの観察に出かけたくなります。できればルーペを持って! 遠目にはどれも同じように見えても、コケは色も形もさまざま。多くのコケには茎も葉っぱもあり、ルーペで観ると1本1本がまるでミニチュアの樹木のように見えるそうです。


 コケにはしっかりとした根がありません。髭のような糸くずのような、ひょろひょろとした仮根で地面や石垣などに張り付いています。水や養分は体の表面全体から取り込みます。ただ、長い時間、体の中に水分を貯めておくことはできません。あっという間に乾いてしまうのですが、次に雨が降ったら元の姿に戻ることができます。晴れた日は、乾いたときの状態を観察できるだけでなく、霧吹きなどで水分を与えれば湿った状態になり、両方を観察することができるそうです。


 作者の田中美穂さんは、岡山県倉敷市にある蟲文庫(むしぶんこ)という古書店の店主です。私は数年前、ここで村上春樹訳のレイモンド・カーヴァー作品の単行本を見つけて購入しました。私としては掘り出し物だと喜んだ次第です。この絵本に描かれている倉敷の風景も懐かしく思い出しました。(店主)


コケのすきまぐらし

田中美穂 文

平澤朋子 絵


福音館書店

2021年10月1日発行

定価770円(本体700円+税10%)

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