イタリアへの愛が詰まった絵本です。読む人をイタリアの「丘の町」に誘います。
イタリアは、1861年に統一国家としてのイタリア王国の成立が宣言されるまでいくつもの小さな国に分かれ、それぞれの国は山の上に城壁をめぐらせた自分たちの町をつくっていました。山岳都市とも呼ばれるこれらの丘の町は、今でもイタリア各地に残っています。
この絵本の作者の古山浩一さんは、年に一度、イタリアなどの古い街並みが残るところ訪ね歩き、スケッチを描いているそうです。この絵本では、イタリアのスカンノ、ボマルツォ、マテーラ、ラグーサ、ピティリアーノといった、あまり馴染みのない地名の町を紹介します。精緻なスケッチに目を見張ります。ペン先の太さが異なる約30本の万年筆を駆使して描きました。
町全体を俯瞰するアングルがある一方、家の玄関の扉や人々の暮らしぶりに着目したスケッチもあります。イタリアの風を濃密に感じさせる絵本です。(店主)
イタリアの丘の町(たくさんのふしぎ2025年12月号)
古川浩一 文・絵
福音館書店
2025年12月1日発行
定価810円(本体736円+税10%)

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