未完成のぬいぐるみの「はんぶんライオン」が大活躍する絵本です。未完成でも、ライオンはライオン。誇り高く生きる姿が胸を打ちます。
ぬいぐるみを売っている小さなお店がありました。ぬいぐるみは、職人のおじいさんが一つひとつ丁寧に作ります。でも、おじいさんは年を取り、店を閉めることになりました。最後に売れ残ったのはライオンのぬいぐるみ。顔のたてがみが半分だけの「はんぶんライオン」です。
途中で材料が無くなってしまい、はんぶんライオンは未完成のままでした。おじいさんは家に持ち帰ることにして、窓辺に飾ります。おじいさんから、しっかり家を守るよう頼まれたはんぶんライオン。おじいさんの家に危機が訪れたときの奮闘ぶりが見事です。
はんぶんライオンは、謙虚な姿勢で仲間に教えを請うことはあっても、誇りを失うことはありませんでした。頼もしく爽快な生き方に共感します。絵はウッドバーニングの手法で描かれたそうです。不思議なタッチですが、温かみを感じさせます。(店主)
はんぶんライオン(こどものとも2024年3月号)
大原悦子 文
猫野ぺすか 絵
福音館書店
2024年3月1日発行
定価440円(本体400円+税10%)
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