私たちは普段生活する中で、名前の大事さを意識することはほとんどありません。でも、名前は私たち人間が発明した中でもっとも大事なものかもしれません。名前がどんなに大事なものか、この絵本を読んで考えてみましょう。
名前があれば、実物が目の前に無くても、それがどういうものか他人に伝えることができます。名前はその場にないものを簡単に表現できる便利なもの。人は名前を使って、他人が考えることを理解しているのです。
実体が無いものにも名前を付けることができます。名前が付くことで、実体が無くても、他人とそれを共有することができるのです。「喜び」や「怒り」「哀しみ」などの感情がそれに当たります。そのほか、「明日」や「誕生日」「お祝い」「予定」なども、とくに実体がある訳ではありませんが、名前が付くことで私たちは具体的にイメージすることができます。
名前が付くと「無いもの」が「有るもの」に変わってしまうことにはびっくりします。建物の大きさが制限されている地域では、もともと何も無い空間が「空中権」という名前を付けられて取り引き対象にされたりしています。「名前のチカラ」は私たちが思っていたよりもすごいみたいです。(店主)
名前のチカラ
文・絵 クリハラタカシ
ゲスト講師 三土たつお
福音館書店
2022年12月1日発行
定価770円(本体700円+税10%)
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